南の島に雪が降る
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薦めたい:☆☆☆☆☆
「ほぼ日刊イトイ新聞」で
柴田理恵さんが薦められていたので、
手に取ってみました。
沢村貞子さんの弟さんの、加東大介さんが
太平洋戦争中にパプアニューギニアの
マクノワリに派兵された時の体験記です。
戦記ではあるけれど、戦闘シーンはなく、
けれど「戦争」という非日常が
いつ終わるのかわからない状況下。
いらだつ兵士たちのために「演劇分隊」が作られます。
しかし芝居経験のあるのは筆者くらい。
それでも募集をかけてみると、
三味線弾きや歌手、友禅デザイナー、洋服屋にかつら屋…と
続々とメンバーが集まります。
ジャングルの中に劇場が作られ、
7000人の兵隊が月に一度は観劇できるように、
演劇分隊は1日の休みもなく上演を続けます。
舞台の女形や懐かしい日本の風景に、
妻や母、ふるさとを思い浮かべる兵隊たち。
今月の出し物を見るまでは死ねない、と
元気を奮い立たせる病気の兵士がいる一方で、
「きょうの芝居はおもしろかったなぁ」と言って
亡くなる人もいたということです。
湿っぽさのない文章だからこそ、
読み終わってからじんわりと胸に迫るものがありました。