女の民俗誌

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女の民俗誌 (宮本常一)


面白い :☆☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆
役に立つ:☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆


「忘れられた日本人」で知られる宮本常一さんが、

生涯にわたるフィールドワークで得た

日本女性の生活に関する文章をまとめた一冊です。

ささいな失敗で家を追われた女が50年後に孫と出会う「飛島の女」なんて、

それこそ「まんが日本むかしばなし」にありそうな遠い昔の物語のように思えますが、

せいぜい私のひいおばあさんくらいの世代の話なんですよね。


みんなこざっぱりした服を着て、パソコンで地球中と情報とやりとりし、

貧しくても食うに困ることはまあない現代の日本人と比べれば

この本の世界はものすごく遠い時代のように感じるけれど

私たちは間違いなくこの人たちの(しかも結構近い)子孫のはず。

この100年ほどの変化の激しさをあらためて感じました。


旅や女中奉公で見聞を深め、海女や行商でしっかり稼ぎ、離縁したり再婚したり、

登場する女性たちは皆たくましい。負けてられません。


落語に出てくる「米糠三合あったら養子に行くな」という慣用句(?)の意味も

やっとわかりました。

家付きの娘に対して婿養子は一生頭が上がらず苦労するよ、ってことらしい。

武家社会の「長男相続」が浸透しなかった地域も多かったようで、

そういう所では女性の地位は決して低いものではなかったそうです。