王妃の離婚

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王妃の離婚 (佐藤 賢一)


面白い :☆☆☆☆☆
感動した:☆☆
役に立つ:☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆


「100年戦争が終わった後のフランス」という、
日本人になじみの薄い舞台で、
ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚裁判の話、
と書くと、「なんか取っ付きにくそうだなー」という印象ですが、
ところが読み出したら最後まで止まりません。


カルチェ・ラタンにその人ありといわれた伝説の学生・フランソワは、
ジャンヌの父・ルイ11世にパリを追われ、
田舎弁護士としてくすぶること20年。
「自分を陥れた男の娘が苦しむのを見てやろう」と、
離婚裁判を傍聴したのをきっかけに、
圧倒的に不利な立場に置かれた王妃ジャンヌの弁護を引き受けることに。
傍聴席を巻き込み、裁判をくつがえしていくフランソワの大活躍!
ついに現王ルイ12世を法廷へ引っ張りだすことに成功しますが…


失われた青春時代は決して取り戻すことはできないとわかっている、
それでも奮闘するフランソワの熱さに巻き込まれ、
そして法廷を取り囲む猥雑な民衆のエネルギーに圧倒されました。
フランス革命の時の庶民の熱気も、こんな感じだったのかな。


そして、ジャンヌの、女性としての魅力に自信を持てない女の苛立ち、
同性としてすごくわかります。