太公望(上中下)

51v33awnsxl_bo2204203200_pisitbstic


太公望〈上中下〉 (宮城谷昌光)


面白い :☆☆☆☆☆
感動した:☆☆☆
役に立つ:☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆


争いを好まない遊牧の民・羌の呂族は、商王に祭祀に使う生贄として狩られ、
残ったのは子どもが6人だけ。
商を倒すことを誓った一番年長の望は、様々な大人たちに出会いながら成長し
次第に望のまわりには人が集まってきます。


倒すべき商の都で肉屋をしながら、後宮に賈人(商人)として出入りし情報を集めたり、
自ら出向いて有力な部族に神の力に頼らない戦い方を教えたり、戦車を作らせたりと
テロリストか革命家のような動きをする望。
それでもなかなかきっかけを掴めないまま年月は流れますが、
元山賊、元奴隷、羌族以外の人も加わって望の一族は次第に力をつけ、
周王を助け、ついに商を倒し、
斉の国を建てるまでの物語です。


この人の長編小説をこれまでにいくつか読んで、パターンがあることがわかってきました。
出だしはとにかく丁寧に、
主人公が歴史の表舞台に立つ相当前から語り始めることが多いみたいです。
そして残り1/4くらいになって一気に加速し盛り上がり、ラストは余韻を残すようにあっさりと、
というのが多いみたい。


今回も、望の下積み時代はちょっともどかしいくらい苦悩の時期が続きますが、
周と召の同盟が成立した頃から話はトントン拍子に進んで、
鮮やかに商を倒して読んでる側もすっきり!
で、すっきりした後、もう一度、
望が苦しみながら成長していくところをゆっくり読みたいなーと思います。
宮城谷さんが書きたいのもそこなんじゃないかと思うんですが、どうだろう。