コスメの時代―「私遊び」の現代文化論

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コスメの時代―「私遊び」の現代文化論(米澤泉)


面白い :☆☆☆☆
感動した:
役に立つ:☆☆
薦めたい:☆☆☆


松岡正剛さんの千夜千冊で紹介されていて、興味を持ちました。
1980年代から現在にかけて、オリーブ少女はコギャルに、
デザイナーズブランドはユニクロに、
「プワゾン」はセレブ名香水に、それぞれ取って代わり、
ファッションは「私探し」「自己表現」から
私というキャラを日替わりで着替える「私遊び」になった。
これが東浩紀の「大きな物語からデータベース消費へ」というオタク論ともつなげて語られています。
(そもそもコスメフリークは立派なオタクだもの)


コギャルブームがきたのは、オリーブ少女だった私が高校を卒業したのとほぼ同時期で、
となると我々1970年代半ば生まれはおそらく最後の少女文化世代になるんでしょう。
お化粧はしなくもないけど、基本的には非日常のものだし、
香水は山田詠美「放課後の音符」のラストみたく、大人への一歩の印だったはず。
本書で書かれた変化は実際体感してきたことなので、
ああ、そうそうそうだったねー、そうなのよねー、と膝を打ちながら読みました。


しかし残念なことに、この本はそれで終わっている印象です。
昨今の「森ガール」の流行や、オーガニック系コスメの台頭、
生活系雑誌(天然生活とかクウネルとか)の登場は
(筆者が言うところの)「私遊び」に疲れた結果なのか、
それを説明する新たな方法はあるのか、
次はそのあたりまで、できればその先まで書いてほしいと思います。


それにしても、今のカタログ化したファッション誌はつまらない。
どの年代向けの雑誌も新商品のカタログでしかない。
(ほんとはカタログのはずの「通販生活」が多くの雑誌より読み応えがあるってのはどうなのよ)
でも雑誌は好きだから、
「雑誌」という媒体に片思いして、フラれ続けてるような気分です。


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