人間の土地/夜間飛行
面白い :☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆☆
役に立つ:☆☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆
須賀敦子さんの著書で紹介されていたのをきっかけに、手を取りました。
実はもう随分前に読み終わったんですが、感想が書けないんです。良すぎて。
こんな古典的な名著を今更紹介する必要もないかもしれません。
もし本棚を整理して少しずつ本を減らしても、この本は多分ずっと残る。
そして自分のお棺の中に本を入れてもらうならこの2冊がいいな、と思います。
南仏からスペイン、アフリカ、南米へ至る郵便輸送が舞台となっています。
「人間の土地」サン=テグジュペリ自身のサハラ砂漠での遭難がメインですが、
ひとつひとつの章は独立性が高く、どこから読んでもいいと思います。
「夜間飛行」は輸送会社の支配人リヴィエールを軸として、
人類の進歩と個人の幸福とのせめぎあいがテーマです。
「南方郵便機」(夜間飛行に収録)は実は私にはちょっと読みにくくて、まだ消化できていません。
夜間飛行が「人 対 人」「人 対 社会」を扱うのに対して、
こちらは個人的な内面の問題を取り上げていると思います。
こころに残る言葉がたくさんありました。読みながらふせんを貼ったらふせんだらけになりました。
ちょっと長いのですが、一つ引用します。
人間であるということは、とりもなおさず責任をもつことだ。
人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。
人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。
人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。
(「人間の土地」より)
堀口大學の訳は古いのかもしれないけれど、読みにくいとは思いませんでした。
もし素敵な新訳が出れば、それはそれで読んでみたいです。
2冊とも、宮崎駿が表紙絵を描いています。
「人間の土地」の方にはエッセイとイラスト入り地図も。
「『紅の豚』のあのシーンはこの本のここのイメージかも」というのもあります。
『豚』好き、『ラピュタ』好きの方はぜひ。
たしかゲランに「夜間飛行」という名前の香水がありました。
今度化粧品売り場を通ったら香りを確認しようと思います。