単純な脳、複雑な「私」

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単純な脳、複雑な「私」(池谷裕二)


面白い :☆☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆
役に立つ:☆☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆


糸井重里との共著「海馬」などで知られる
脳科学者、池谷裕二さんが、
母校である静岡の藤枝東高校で後輩たちに行った
最新の脳科学について4日間の講義録です。

講演を本にまとめたものって、
読みやすいけど内容が薄いことが
しばしばあるような印象を、個人的に持っています。
ところがこの本、読みやすい上に中身が濃い!
たとえば…

・心が痛む時に反応する脳の部位は、物理的な痛みを感じる部位と同じ
→脳は、人間に進化する前から備えていた回路を、
 ヒト特有の社会的な関係を感知するにも使い回している。
 新しい機能を付加するのでなく、
 脳機能を使い回すことが進化の真髄である。

・「手を動かそう」と意図する前に、
 脳はもうすでに手を動かす準備をしている
→人間の自由意志とは、「●●をする意志」でなく「しない意志」。

というような面白い話が次から次へと出てきます。
池谷さんが講義で使った動画が、
ページの隅に描かれたパラパラマンガや
QRコードを読みとって携帯で見られる等、試みも盛りだくさんで
これで1700円なんてもう安すぎます!