夏姫春秋

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夏姫春秋(宮城谷昌光)


面白い :☆☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆
役に立つ:☆☆
薦めたい:☆☆☆☆


白川静「漢字―生い立ちとその背景」を読みつつ、
これを読んだのが本当によかった!

なぜ夏姫が「風」を起こすのか、
なぜ楚の荘王は子南を(すでに死んでいるのに、わざわざ)車裂(!)したのか
なぜ巫臣は夏姫を地に伏せたのか、

…と、腑に落ちる点がいろいろあって
たぶん「夏姫春秋」だけ読んでたら「何でそうなるの?」と首をかしげていただろうし、
「漢字」だけ読んでたら「難しい…」と根をあげていた、と思います。

主人公の夏姫は、春秋時代の美女/妖女/悪女として有名なんだそうです。(知らなかった)
鄭という小国の公女として生まれ、
隣国・陳へ嫁しますが、夫は早くに亡くなり、
その後様々な男の手に渡るも、夏姫に関わった男はみな災難にあう。
ただ一人、楚の巫臣だけがそうはなりませんでした。

夏姫が主人公、というより、
夏姫をめぐる男たちの物語かもしれません。
実際、夏姫が出てこないまま100ページくらい話が進んで、
「あれ、そういえば夏姫はどうした?」って思ったり。
この前読んだ戦国時代の「楽毅」に比べると、
春秋時代は外交関係がまだまだシンプルなので、読みやすかったです。
この時代の政治や戦争に呪術的な色が濃いのも新鮮でした。

しかし、誰が見ても心を奪われるような、そんな美女っているんだろうか?
世の男性の想像力が作ったファンタジーじゃないのかな??