中国の大盗賊・完全版

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中国の大盗賊・完全版 (高島 俊男)


面白い :☆☆☆☆☆
感動した:☆
役に立つ:☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆


「盗賊」といってもこの本で扱っているのは、
石川五右衛門やルパンみたいに個人で活動してる人じゃありません。
「官以外の、武装した、実力で要求を通そうとする、集団」そう、集団です。


食えない・仕事がないあぶれものが流民となり盗賊となり、
そこに宗教がからんだり、不平知識人が加わって戦略がでてきたり、
商人が参加して情報網を得たりすることで、数十万の盗賊が効果的に動けるようになり、
ついには天下をうかがう、というところまで行ってしまう。
秦末の陳勝劉邦から20世紀の毛沢東まで、天下を取った/取りかけた盗賊列伝です。


毛沢東が中国伝統の(?)盗賊手法でのし上がったくだりは、
この本が最初に出版された1989年版には収録されず、2004年の「完全版」でやっと日の目を見たそうです。
20年前はまだ社会主義が生きてた時代だから、出版社としては出しにくかったとのこと。
他の章も十分おもしろいですが、最高に面白いのがこの毛沢東の章でした。
現代中国ってよくわかんないなーと思っていたけど、
毛沢東=最後の大盗賊で最後の皇帝」と思えば理解できそうです。


また、この本ものすごく読みやすいです。
くだけた語り口調でズバッと切って、読んでて痛快な気分になります。
この人の本、もっと読んでみたくなりました。もっと早く出会いたかったな。