地図のない道

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地図のない道 (須賀敦子)


面白い :☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆
役に立つ:☆
薦めたい:☆☆☆☆


「世界は分けてもわからない」の導入部で登場するのが、この本に収められた
「ザッテレの河岸で」というエッセイです。
須賀敦子さんは以前から読んでいたのに、この一冊はまだ手に取っていませんでした。
「地図のない道」「ザッテレの河岸で」の二篇が収録されています。


結婚5年でイタリア人のご主人を、そのあと道頓堀育ちの祖母を相次いで亡くした須賀さん。
ヴェネツィアと大阪、2つの「水の都」を
橋をいくつも越えながら巡るのは、
ゲットーとか、四天王寺の西門とか、<治るみこみのない病人の水路>とか、
主流になれない人が集まる、にぎわう世界から離れた場所ばかり。


「地図のない道」の最後、
トルチェッロ島の教会に須賀さんはたどり着きます。
一度はヴェネツィアの中心として繁栄し、
しかし病の流行をきっかけに廃墟同然となった島。
学生時代にヴェネツィアに旅した時、この島について何の知識も持たなかったのに
私も偶然、ここを訪れました。
島の教会には美しいモザイクタイルの壁画があります。

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須賀さんが出会った、イエスを抱いた聖母マリアのモザイク画、
残念ながらこの絵の写真は持っていないのですが、
そのマリアの右上にいる、やはりマリア像のように見えるモザイクの絵はがきが手元にあるので
画像を載せておきますね。
見ていただければこの教会のモザイクの美しさは、十分伝わると思います。