中国の陶俑 ―漢の加彩と唐三彩―

たまたま日比谷を通る用事があったので、出光美術館で開催中の
「中国の陶俑 ―漢の加彩と唐三彩―」を見ました。


「陶俑」って何ぞや?というと
やきもので作った、お墓に入れる人や動物の形をした副葬品のことだそうです。
(「兵馬俑」の「俑」です)
陶器のものを入れる前は、本物の人間・動物を埋めたらしい。ああ、陶器になってよかった…


漢代から唐代の陶俑と、俑以外の副葬品(器など)が時代順に展示されています。
漢時代の気になった作品は、

「灰陶加彩貼花人物禽獣文器台」
ベージュ色の器の外側に、あまり写実的でない人物や動物が張り付いています。
頭が動物になった人なんかもいて、おおらかで楽しい雰囲気。
絵はがき欲しかったのに、なかった。残念。

「緑釉楼閣」
「夏姫春秋」に出てくる、陳の人達が遊んだ楼閣はこんな感じだったのかも、と思って見ました。
とはいえ夏姫の時代と後漢じゃ700年くらい違う。中国の歴史は長いなあ…


唐代になると、唐三彩のような鮮やかな色彩と、よりリアルな造形が見られます。

「灰陶加彩神将」
日本のお寺でもおなじみの、餓鬼を踏みつけた神将像。
でも赤ちゃんのようにぽっこりしたお腹、愛嬌のある表情で
全然怖くありません。むしろ可愛らしい。

「女子像いろいろ」
高貴な女性はふくよかで、音楽を奏でるような女官たちはほっそり。
教科書に出てきた「鳥毛立女屏風」にそっくりなふくよか女性像もありました。
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現代人の目からすると、ほっそり楽女のほうがべっぴんに思えます。
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チケットに載ってる「ほっそり楽女」さん。小さくてとても愛らしい作品でした。
「美術品」として他人に鑑賞されるために作られたのではなく、
死者のためだけに思いを込めて焼かれた陶俑たち。
特に興味があったわけじゃないのに、見終わって何だかほっこりした気分になったのは
死者に対する当時の人々の気持ちのせいかもしれません。