皇室の名宝ー日本美の華 1期
東京国立博物館 平成館で11/3まで開催中の
「御即位20年記念特別展 皇室の名宝展ー日本美の華 1期」を見てきました。
この展覧会は1期と2期に分かれており、
1期は三の丸尚蔵館所蔵の絵画と工芸品が展示されています。
何といっても目玉は、伊藤若冲の「動植綵絵」全30幅が一挙に展示されること!
動植綵絵の展示は、私のこれまで見てきた中では
2000年、京都国立博物館の「若冲」展で11幅の展示(展示替えあり)
2006年、皇居・三の丸尚蔵館で6幅ずつ、5回に分けての展示、
2007年、京都の相国寺で全30幅+「釈迦三尊像」
の展示がありました。
東京で全30幅が一度に並ぶのは、実に83年ぶりとのこと。
相国寺で見た時「ああ、これでもう当分見られないかも…」と寂しく思ったのに、
2年ちょっとでまた出会えて本当に嬉しい!!
今回「釈迦三尊像」はありませんが、若冲が動植綵絵に取りかかる前に描いたという
「旭日鳳凰図」が公開されています。
こちらも動植綵絵と劣らぬ若冲の情熱が感じられます。必見です。
混雑具合はというと、やっぱり動植綵絵の部屋が一番の人だかりでした。
それでも「阿修羅展」の時のような5重・6重の人というわけではなく、
かぶりつきで堪能できる程度の混みよう。
じっくり見た後は中のベンチに腰掛けて、
動植綵絵と同じ空間にいられる幸せをかみしめてさせてもらいました。
動植綵絵へ費やされれたであろう労力と時間はもう計り知れない。
それだけ思いを込めて、集中してやりとげるような仕事を、
自分は何かできるだろうか、と、見る度に考えさせられます。
展覧会前半部は、他にも岩佐又兵衛の「小栗判官絵巻」、北斎の「西瓜図」、
狩野永徳の「唐獅子図屏風」とみどころは多いのですが、
面白かったのが安土桃山時代の「萬国絵図屏風」。
右隻に馬に乗った世界の様々な国の王と、多くの都市の図が描かれ、
左隻には世界地図と世界の民族が描かれています。
世界地図がなかなか正確な形で描かれていて驚きました。
戦国大名たちはこんなの見て、どう思ってたんだろーと想像するとワクワクしちゃいます。
秀吉が、日本の次は朝鮮・明へ、と夢見たのもわからなくもない。
展覧会後半は明治以降の日本画と工芸品。
きらびやかな彩色の大壷などは、私のちょっと苦手な分野です。
絵画作品も、前半に比べるとおとなしい印象。
若冲や岩佐又兵衛作品には「正気と狂気の間」のようなあやうさを感じて
そこに人は惹き付けられるんじゃないかと思うけれど、
後半の絵画作品に、その手の危なっかしい感じはありません。
後半で一番好きだと思ったのは、平福百穂の「玉柏」。
瑞々しい柏の葉と若竹に、つがいの鳩が描かれています。
昭和天皇即位の際に、皇后から天皇へ贈られた屏風だそうです。
この展覧会、会期が短いので行かれる方はお気をつけて!
ちなみに2期は、11/12〜11/29。
正倉院の宝物と、書・絵巻がメインとのことです。