日本という方法ーおもかげ・うつろいの文化

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日本という方法―おもかげ・うつろいの文化 (松岡正剛)


面白い :☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆
役に立つ:☆☆☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆


漢字や仏教、儒学といった外来のものをを古くから巧みに取り込んできた日本。
「二項対立」ならぬ「二項同体」「多項同体」という方法で、
本来なら並び立たないものを編集して、自分のものにしてしまう。
屋根の「てりむくり」や、早い時期からの神仏習合などの例が挙げられています。
異物を取り込んで一体化する、ということで、私は千と千尋の神隠しの「カオナシ」を思い出しました。


ロックやポップスやジャズやらが混ざってJポップが作られていることや
北欧型大きな政府アメリカ型小さな政府、どちらを明快に目指すわけでもなさそうな政局など、
現代社会の理解にそのまま使えそうです。
日本の「方法」は古代から今まで生き続けているんですね。


文中登場する本居宣長西田幾多郎の哲学など、私にはなかなか難しかったです。
けれど受ける刺激はすごく多かった。


水を抜いた枯山水の庭や、「みわたせば花も紅葉もなかりけり」といった歌が、
水、花、紅葉がないゆえに、それらを想像させるのだ、というくだりがあります。
中身がない、空ろ(うつろ)な状態を示すことで、現(うつつ)を表現する方法。
その後に、岡倉天心の「あえて仕上げないで、想像力で補う」という言葉が引用されています。
この本自体、主題を明快に示すよりも、方法だけを示してあとは読者の想像にまかせる、
というスタンスを取っているのかもしれません。
だからなかなかわかりにくい。
これからも時々読み返していきたいと思います。


ところで、この本の著者の松岡正剛さんがプロデュースした書店内書店、
「松丸本舗」というコーナーが
丸善丸の内店(オアゾ内)にできたそうです。
写真を見ると、40mmあるという分厚い棚板が魅力的。
(ちなみに、うちの本棚の棚板は20mm。たわんでいます。)
面白そうなので、近くまで行ったらゼヒ覗いて、ブログで報告したいと思います。
なんかいっぱい本買っちゃいそうで恐ろしいなあ…

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