獣の奏者(闘蛇編・王獣編)

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獣の奏者(上橋菜穂子)


面白い :☆☆☆☆
感動した:☆☆☆☆
役に立つ:☆☆☆
薦めたい:☆☆☆☆☆


昨年12月の初め頃、うっかりテレビをつけっぱなしていて、
たまたま見たアニメが「獣の奏者エリン」でした。
この回が全50話中の47話、だったので、ストーリーはよくわからないものの、
浮ついた騒々しさのない、子供向けアニメらしからぬ落ち着いた雰囲気や、
絵の美しさ(残虐な場面になると、絵が岡本太郎風になるんですよ!)
西洋と東洋の混じったような風俗がおもしろくて、
原作にも手を出してしまいました。


エリンが暮らすのは、武力を持たない真王と、軍事力で真王を支える大公が上に立つ国。
真王を象徴する獣が、狼のような頭に大きな翼を持つ「王獣」、(←鴻池朋子さんの描く狼っぽい!)
一方、大公の操る獣が、竜のような、鰐のような、鋭い爪をもつ生き物「闘蛇」。


エリンの母は闘蛇専門の獣医師でしたが、闘蛇の大量死の責任を負わされて刑死し、
エリンは蜂飼いの男のもとで成長するうちに、生き物の不思議に夢中になります。
やがて偶然王獣を操る技を編み出してしまったことにより、
真王と大公の間の政治的不和に、否応なく巻き込まれていきます。


エリンが蜜蜂や王獣の謎にのめりこみ、自分の頭で考えることで
ひとつひとつ、疑問を解き明かしていく過程は、
人間の能力の無限の可能性に心おどります。
その一方で、大きな歴史の流れにおける、人間の存在の小ささも感じさせられるストーリです。
ジャンル分けすれば「児童文学・ファンタジー」でしょうか。
小学校高学年になれば読めると思います。
でも、大人の方もぜひ。


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